第3章 溶けるのと溶けないの🚹※/尾浜/現パロ
きのうインターホンを鳴らしたのが鉢屋だったとしると、勘右衛門はとにかくすぐに電話で謝るように迫った。おれはケータイを取り、鉢屋に発信してみる。
「…」
「ただいま電話に出ることが出来ません。発信音の後に、お名前と、スリーサイズ、メッセージを録音してください」
鉢屋の声がそういい、ピー、と音が鳴る。
「いま測ってきます」
俺はひとこと、それしかいうことができずに、その場を立った。
「えっと…」
「どうしたの」
「メジャーがほしいんだ」
「そこの引き出しだよ」
「ありがと…勘右衛門。でも俺じゃ上手くできないかも…ねえ、俺のスリーサイズ、測ってみて」
「スリーサイズ…?! なんで男の?!」
勘右衛門は結局スリーサイズの測りかたをググったうえで、丁寧に計測してくれた。
そして俺にスリーサイズのメモをくれ、電話を見守る。
「よし…」
「…」
もう一度あのメッセージが繰り返され、俺は発信音のあと、スリーサイズを伝えた。
達成感とともに、通話を切ったのだった。
「ん? もしかしていまの相手、三郎?」
「うん…」
「謝ってないでしょ…!!」
「えっ」
つぎに会ったとき、おれは竹谷から「おまえ細いよな」と心配されていまい、鉢屋本人からは「留守電を再生したら男のスリーサイズを聞かされたときのおれの気持をかんがえろ。Twitterにおまえのスリーサイズ晒すぞ」と怒られてしまったけれど、たぶん鉢屋の身内はみんなしっているだろう。