第3章 溶けるのと溶けないの🚹※/尾浜/現パロ
「…きもちよさそ…」
からだじゅう熱くて意識がはっきりしないのは、はじめてのことだ。
それでも、ふだんより、ずっとすぐにイきそうになってしまっているのは自覚がある。
勘右衛門の細い腕にいたずらをされる、このまったく取りつく島もない驚愕の連続の最中に、俺は放られているのだった。
「ぁ……」
キスの嵐が止んで、勘右衛門の指がなかから引き抜かれた。吐息が漏れ、俺の腹に、じぶんの精液が伝ってゆく。
「ふー……かんえも、」
「息、乱れてる…」
なんか感激している。
乱れた髪のうえから勘右衛門が抱きついてきてうっとおしい。
「うれしすぎる…」
「…」
べつに彼はちんこを挿れたわけではないのに、その喜びようは、まるで処女をもらったかのよう。
不思議なので、その乱れた髪を掻き分け、頬を両手に包んでみると、見たこともないほどうっとりした彼の顔が現れた。
「勘右衛門のえっち」
「だってえ…」ひとの胸でかってにのの字を描く。
「おれ、いつもすきかって甘えられて、さっきみたいにいたずらされてばかりだし、の気持いいことわからないから、悔しかったんだ…」
ちらりと、俺と視線を合わせる。
あのさ…と、一段と低く、口のなかで囁いた。
「入れる指増やしてもいい?」
?
「…」
勘右衛門はうっとりしたまま、俺の股のあいだに座り直すと、俺の膝を持ち上げ腹につかんばかりにし、露になった俺の「うしろ」を指でぐりぐりと押してみせる。
「ふぁ… ぁっ」
「…た たまらん…ほんとに…」
あとのことはよく覚えてはいないけれど、勘右衛門は俺をあられもないすがたにすることにばかり夢中で、じぶんはいつものとおり、満足にイけないまま、眠りこけた俺を見ているしかなかったみたいだ。
「甘えるきみと立場を逆転させたかったのに、結局どこまでも甘やかすだけになってしまった」
それじゃあやなの? と俺がさすがにマイペースを反省してつぶやくと、ぶんぶん頭を振る。
「もっと甘えて」
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