第3章 溶けるのと溶けないの🚹※/尾浜/現パロ
相手は俯いたまま、俺の肩から滑るように手を離して襟元を弄る。
「ね 」
ソファのうえで相手はみるみる俺のシャツを開いていく。
五つめの釦の辺りで待ち構えていた俺の掌に突進してきた彼の手を、俺は持ち上げ、口づけた。
視線が合う。
なんか、鼻息荒いんだけど、勘右衛門。
「…」
俺はおもいだす。
何千キロもの成層圏の遠い記憶が、突然地上に迫り、目のまえに勘右衛門のいることが、奇跡のようにおもえる。
彼はもうその頭が空に溶け込むような巨人ではなく、いま、ここにいて、俺のことだけを見つめている。
「」
おれ――――
口や眉をきりりと引き締め、それでも頬を紅潮させて、思い詰めたように言葉を口にする。
「おれ、きょうはおれが……のこと……き、きもちよくしたい」
「いつも気持いいよ」
きのうも。そういうとますますこの同居人は顔を真っ赤にし、たじろいだ。
きのうは朝から勘右衛門を可愛がった。
つぎつぎもたらされる愛撫に、力が抜けなにもできなくなった彼がかわいかったけれど、外出しなければいけなかったのでそれだけで終わった。
力ない罵声が飛んできた気がしたけれど、それもかわいい。
帰ると、勘右衛門はソファでうたた寝していたので、おれはその膝に頭をあずけてスマホをいじっていた。
しばらくしてインターホンの音で起きた膝の主に、なぜかその体勢のままフェラすることになり、俺は結局は、最後まで彼を堪能してみたんだ。(インターホンには出なかった…荷物も頼んでないし、セールスだろう。とおもったら三郎からなんで出ないんだとLINEがきたが)
「勘右衛門の膝も気持いいし、肌も、体温も」相手にまえをはだけさせられているけれど、それより俺は幸せな思い出をつぶやく。
「キスも気持いい。なかも…「そういうのじゃなくて!」