第7章 おひとつプレゼント/富松
「名前、なんていうの」
「よ」
「……金平糖、すきなの?」
「ウン」俺の包み紙からの掌に転び出た翡翠色の粒は、彼女の口に消える。
「いえ…そんなことないわ。だいッきらいよ」
「なんだ、そりゃ…そんなにいうなら食べないでよ」
返してほしいくらいだ。苛ッとして俺は包みを閉じようとしたが、それを見ては、はじめて気まずげにしたのだった。
「きょうまで、すきだったのよ。すきなひとの好物だったから、金平糖……でも、それもきょうまで」
「きょうまで?」
「……ええ。あしたからきらいになることにしたの」
「ややこしいな…ねえ、金平糖きらいになるの、やめなよ。だって、俺はすきだよ、金平糖」
「なによ、それ」
「アンタがすきだとなんだっていうのよ」不機嫌なふりをしていたの顔はしかし綻ぶ。たぶんふたりは友だちになれる。俺はおもった。
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くのたまを警戒する忍たまかわいいです
お菓子のくだりはおーなり先生の「おてんきチップス」から借りてます