第26章 あたたかくしておやすみ※/サレズケ
それからオレたちは、キッチンに繋がったリビングへと移動した。ズッケェロのやつは部屋に入ると、ふと棚に目をやる。
「なんだ、女性名、まだ主役を置いてないじゃあねえか」
「おー、そうだよな。女性名が置くといいぜ。おまえがいちばんちいさいもんな」
ちいさいといっても、この女は19歳だそうだが…セーターとジーンズを着た女性名は、きのうズッケェロが買ってきた、サンボネのスプーンを取り出そうとするのを中断して、箱庭の置いてある棚へと寄って行った。
そのあとをのっそりと、寝間着のズッケェロも着いてゆく。
それは、箱庭というより寄せ植えの鉢をおもわせるようなちいさなもので、きのう、「サーレーとズッケェロに」と、女性名が持ち込んだものだ。
縦に長い松ぼっくりがツリーとして飾りつけされているその手前に、ミニチュアの馬小屋がある。
女性名は袋から、きょうのために飾らずにいたちいさな赤ん坊の人形を拾い上げ、オレもキッチンの火を止めて、見に行った。
そして赤ん坊は、小屋の男女の人形の間に、そっと飾られる。
「クリスマスおめでとう」
「おめでとう」
オレとズッケェロは、女性名の頬や額に、左右からキスをした。
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ブオン・ナターレ!去年はだれも求めていないデーボのクリスマス夢ができてしまいましたが今年もなにこれ!
補足すると箱庭はプレセピオというクリスマス定番の飾りだそうです。当日がくると、その家のいちばんちいさな子がキリストの人形を置くことになっているとか