第27章 AS YOU LIKE IT/仗助
それからつぎの授業が体育だという由花子は、予鈴のまえにロッカーへと姿を消した。
「そうだわ」
由花子の背中を見送って、こちらに振り向いた女性名はいう。
「もう5月が終わるわ。仗助くん、双子座生まれだったとおもうけど、お誕生日はいつなの」
「ああ、きょうがそのお誕生日だよ」
けさ「じいちゃんのぶんもね」と母親に盛大にハグされてきたところだ。
「そうだったの。いってくれればそのジュース、わたしが買ってあげたのに」
「いや、女子に買ってもらったってかっこうわるいじゃあねえか」
その上、よりによって女性名に買ってもらうなんて…そうおもっていると、彼女はいつの間にか、おれに手のひらサイズの箱を差し出していた。
平たい形で、カラ、と中身が箱にぶつかる音がする。
「え? いやおれは煙草は―――」
その未開封のフィルムが光る箱には、おめでとうとプリントされた、かわいいシールが貼ってあって、いつ貼ったんだ?! とツッこもうとしたそのとき、ポーンと、予鈴の音圧におれは殴られた。
響きは廊下に充満し、思考を強制的にリセットする。
いうべきことばを失ったが、その箱がなんの箱なのか、「あっ」という間に思い出すのだ。
手を振って、億泰の彼女は歩き出した。
「それ、億泰くんとふたりで買いすぎちゃって、劣化するまえに使いきれないかもしれないから、お裾分けするわ。相手がいるといいわね」
「えっ ちょっと」
答えは出たのに、しかし女性名は走り去る。すがたが見えなくなった相手におれは叫んだ。
「おれ、あんたのことすきなんだけどー!」
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拍手100回記念です。ありがとうございます!
いつも一発屋の敵キャラみたいなやつしか書けていないので、ちゃんと需要がありそうなジョースター家のだれかのドリームを書こうとおもいましたが、シーモネーターになってしまい遺憾におもいます