第26章 あたたかくしておやすみ※/サレズケ
そう、当たり前だが、この女のからだは柔いのだ。
そのシュミーズからのぞく乳房を視界に捉えながら、昨晩、後ろからこいつを抱き締めたときの感触を、オレはふと思い出さずにはいられない。
もともと、女性名がオレの恋人だったのか、ズッケェロの恋人だったのかは忘れてしまったが、昨晩オレたちは、クイーンサイズのベッドに3人で寝転がっていたのだ。
オレは目のまえの女に自身を滑り込ませていて、オレが腰を揺らすたび、ふるふると震える女のからだを見ながら、ズッケェロは彼女の秘核に触れたようだった。
すると彼女はビクビクと揺れ、ズッケェロの胸にすがり、吸い付くみたいに抱き合ったのだ。
オレは、じぶんでも気味のわるいことをいうようだが…ズッケェロの欲情したすがたが、すきだ。目のまえで抱き合うふたりの温もりをじぶんのことのように感じ取りながら、オレはそうおもった。
それはきっと、あいつもおなじなのだ。
オレが女の向こうで腰を動かすのが、どれだけ扇情的に見えただろう。彼女が眠ってしまったあと、オレがやつのそれを握ると、やつもまた、呆気なく果ててしまった。
オレは女性名の頬を掌に包むと、そのふっくらした胸元を覗き込む代わりに、口についた粉を啄んだ。
「…マリオにも、そうすればいいのに。あなたたち、いままでとても仲が良かったぶん、ちゃんとキスをして愛してるっていわなきゃ伝わらないかもよ」
「きっとやってみるぜ。そのときは見ててくれるか」
「キューピッドが必要なら、いいわ」
―――よかったわね。女性名はそうつぶやくと身を伏せて、眠るズッケェロの頬にキスする。するとズッケェロは話し声に眠りを妨げられたか、ぼんやりと目を開けたのだった。
「…なにが」
寝ぼけたまま、とりあえず返事をする。
「だって、あなたとサーレー、ちょっと仲が良すぎたんだもの…お互いすきなんだってことはわかっていたわ」
「なんだよ、それ」
「おい、摘み食いしていねーで、まともな朝食にしようぜ。ズッケェロも起きろよ」