第24章 魚だって飛ぶ時代/岸部
それから、ふたりでワインを開け、漫画を語り、日が傾いてきたころ、客を見送った。
玄関を出ると、しかし青空のもとに歩き出していたはずの彼女が消えていて、ぼくは狐につままれたみたいに空を見るばかりだ。
わかるのはひとつだけ。死因は飲酒をして風呂に入ったことでまちがいないだろうな、ということだった。
飲んだのはワインだ。それがわかるということはどういうことなのか。それに思い至ると、急に空が遠く見えた。
つぎに電話を受けるとき、ぼくは故人の関係者に失礼にならないかどうかの心配なんて、しなくて済むだろう。ぼくはあのひとの関係者だし、その死を、まちがいなく悲しんでいるのだから。
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非恋愛。幽霊に縁ありすぎ先生でした