第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「お願いしますって言われても。そんなことできないよ。あのさ、私のことは置いといて。肝心なのは、ミシェル自身のことだよ。結婚ってのは、本来、好きな人とすることであって………」
そこまで口にして、ハタと気づいた。
先ほどのジル教頭の言葉を思い出す。
『この学園の生徒達は、近い将来、各々の国を担う方ばかりです。その事だけは、心に留めておいてください』
そういえば、ルイと話した時も似たようなことがあった。
この学園では、あらかじめ決められたレールを行くしかない、選択肢を持つことの許されない生徒だばかりなのだ。
努力すれば、なりたい職業に就けると教えるのが、教師の役割なのに―――。
職業だけじゃない、結婚までも決められてる人生なんて、あんまりだ。
「マイン先生、それ、本気で言ってます?」
ティッシュで涙を拭いながら、大きな瞳で私の顔を覗き込んでくる。
「え、何。それって、どれ?」
「結婚は、好きな人とするということ」
「だって、そうでしょ?」
「結婚は、地位と名誉とお金のため。ほんの少しの愛があれば、成り立つものです。マイン先生は、ロマンチストなんですね。そういう方は、側室向きです。側室に与えられる主なものが、愛情ですから」
側室向きという言葉に腹が立ったのか、さっき言われた『外国人で庶民』に引っ掛かっているのか、自分でもわからないけど、なぜか怒りがこみ上げてきた。