第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「具合は、どう?」
部屋を眺めつくし、ありきたりな言葉を発するしかなかった。
「大丈夫です」
そして、やっぱり無難な返事が戻ってきた。
この後、どうしたらいいんだろう?まさか、布団を引っ剥がすわけにもいかないし………。
ロベール先生が、年頃の子は難しいって言ってたのを思い出す。
本当、難しいよなあ。
「あのね、ロベール先生から過労と睡眠不足って聞いて。いくら三年生だからって勉強し過ぎもよくないと思うんだよね。テストも終わったし、少しくらい羽伸ばしても………って、これ、先生が言うセリフじゃないよね」
明るい口調で、そう言ってみる。
「………」
布団が、心なしか揺れている。
小さなしゃくり上げが聞こえる。
えっと………もしかして、泣いてる?
「ミ、ミシェル?あの、もしかして、何か悩んでるとか?」
「………しか」
「え?」
声が震えていて、聞き取りづらい。
そっと、ベッドへと近づき、その場にしゃがむ。
「マイン先生にしか、こんなこと………っ」
そう言って、布団から顔を出したミシェルは、顔を真っ赤に腫らして、ボロボロと涙をこぼしていた。
きっと、ずいぶん前から泣いていたのであろう。
大粒の真珠のような涙は、後から後から頬を伝っていき、ミシェルの握り締めた両拳の上にボタボタと落ちていく。
美少女の涙は、美しさを通り越して、見るも無残だ。
いつも気丈なミシェルが、こんなになるほど泣くなんて―――。