第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
~お願い~
女子宿舎の二階は、私と一年生、三階が二年生、四階が三年生の部屋になっている。
男子宿舎と違って建物自体が小さくて年季も入ってるので、もちろんエレベーターなんてものはない。
四階までに、少々息切れ。
階段を上りきったところで、軽く息を整える。
廊下を進み、一番奥の部屋の前で足を止める。
コン、コン。
控えめに、小さくノック。
返事は、ない。
しばらく待って、もう一度ノックをしようとして、やめる。
寝てるのかも。それなら、起こさない方がいいよね。
でも、このまま戻るのもなあ。
「誰?」
と、小さく、くぐもった声が部屋の中から聞こえてきた。
「マインです」
「………開いてます」
そう言われて、ゆっくりとドアノブを回す。
ベッドの上で、布団をスッポリかぶって丸くなっている姿がある。
「起こしちゃったかな、ごめんね」
「いえ、大丈夫です。寝てませんでしたから」
そのままの体勢で、ボソボソとした口調で、答えが返ってくる。
布団から出てくるつもりは、ないようだ。
いたたまれなくて、部屋を眺め回す。
余計な装飾品が一切ない。ベッドと机と本棚とクローゼットが置かれているだけ。
すごくシンプルだな。
なんか、もっとかわいい小物で溢れてるのかと思ったけど。