第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「それは、かまいませんけど。でも、私、もうすぐ授業があるのですが」
「一年一組での世界史だよね。それ、俺が替わってもいいかな」
「え、ロベール先生が?そういうことなら、了解です」
すぐさま、即答。
内心ほっとしていた。次に世界史の授業がある頃には、もうヨハンナ夫人は帰国している。先の時間割を思い浮かべて、心の中でガッツポーズをする。
と、ロベール先生がジル教頭の方を向いたので、私もそれにならう。
「合意に至ったのなら問題ないです。よろしく頼みますよ、お二人とも」
授業始まりの時間が差し迫っているので、職員室にいる先生方は、各々の教室へと向かい出す。持っていた世界史の一式をロベール先生に託す。
「初授業を取ってしまって申し訳ないね」
「いえ、生徒を気にかけるのも教師の役目ですから」
ロベール先生の後ろ姿を見送り、宿舎へと歩きだそうとした私を、ジル教頭が呼び止めた。
「マイン先生、生徒への思いやりは、大事なことです。私は、貴女のそのまっすぐな思いを高く評価しております。ですが、この学園の生徒達は、近い将来、各々の国を担う方ばかりです。その事だけは、心に留めておいてください」
………?
「はい、わかりました」
なぜ、そんなことを言い出したのだろう。私には、まったく訳が分からなくて。でも、聞き返すことができなかった。