第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
更に、次の日の朝の一斉連絡メールを見て、愕然としてしまった。
各教室に折りたたみのイスをヨハンナ夫人のために用意したとのことだった。
高齢なため、足腰の心配があるので、授業をゆっくり参観できるようにとの配慮だとか。
ヨハンナ夫人が来たら、イスを勧めるように、だって!
そんなことしたら、一日中だって参観してるかもしれない!!
勘弁してよぉ。
さすがに一日中いることはないけれど、長くいる時もあれば、顔を出す程度の時もある。
授業の途中にフラッとやって来て、勧めるまでもなく、自分からイスに腰掛け、また、いつのまにか去って行く。
いつ来るのか予測不能だから、気が抜けない。
いつも通りの授業をしていれば、見られて困ることなんかない。それは、わかっているのだけど―――。
そんな数日を過ごしていくうちに、私の心労は、ピークに達していた。
はぁっ。
最近、ため息が多い。食欲もあんまりない。いろいろ考えちゃってよく眠れないし。
ヨハンナ夫人とは、初日に挨拶したきり、話していない。ジル教頭からも何も言われていないので、私の授業がいいのか悪いのか、どのように思っているのか、まったく分からない。
だから、余計に悩んじゃうんだよねえ。
さて、次は、初めての世界史の授業だ。
この日に向けて、しっかりと準備をしてきてはいるけれど、何せ完全なる許容範囲外の科目。そんな事情なんて知るよしもなく、ひとたび教壇に立てば、プロとして見なされるのだ。
こういう授業は、極力、見られたくない。
そして、また何度目かのため息………。