第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
おもむろに立ち上がり、こちらに歩み寄ろうとしているので、慌てて私の方から近づく。
「お初にお目にかかります、アードラー公爵夫人。虹野マインと申します」
「堅苦しいのは、よしてちょうだい。ヨハンナと呼んでくださいな」
「………では、ヨハンナ夫人」
そんなに親しげに呼んでいいものか、ためらうけれど………仕方ないよね。
強い意思を持った深いエメラルドグリーンの瞳。キリリとした眉毛。薄い唇を大きく見せるよう厚めにひかれた真っ赤な口紅。所々にシワが刻まれているけれど、スベスベとした真っ白な肌をしている。
「わたくしは、女性の活躍を支援しておりますのよ。貴女のような若い方は特に。期待しておりますわ、マイン」
言うなれば、キャリアウーマンだ。成功している女性の代表なんだね。
自信に満ち溢れていて、常に前向きで行動的なタイプなんだろうな。
「ありがとうございます」
ドギマギしながら、やっとの思いでお礼を言う。
私、気に入られたのかな。よかった。
こういう人に好かれないと後々やりづらいことになるのは、目に見えてる。とりあえず安心だ。
「失礼します」
小さな声と共に職員室のドアが開いたので、そちらを見やる。
と、そこに立っていたのは、誰!?って思うほどの満面の笑顔をたたえたミシェルだった。