第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「あの、ミシェルが男の人に触れられたくないって言ってて。そういうのって、男性恐怖症っていうんですかね。もしかして、そういうの見ちゃったからとか?関係あったりします?」
「それも、もちろんあるだろうけど。ミシェルが変わったのは、デビュタントの頃からなんだよ」
「デビュタント?」
「社交界デビューのことだよ。それが一番の要因だと思うよ。見た目は華やかだけれど、地位と名誉と欲望が渦巻く世界だからね。彼女は家柄もよく、ましてやあの美貌だ。男達がこぞって彼女に取り入っていた」
「社交界………」
私には、別世界の話だあ。
確かに、パーティーで煌びやかなドレスを着たミシェルが現れたら、虜にならない男なんていないだろうな。
「次期国王の婚約者候補でもあるから、皆、謹んでいるけど、中には強引に迫ってくる者もいただろうしね」
「次期国王って、ゼノ様のことですよね?ミシェルって、ゼノ様の婚約者なんですか?じゃ、あの二人って恋人同士ってこと!?」
驚きで、つい声が大きくなってしまう。
「そういうことになるかな」
「………」
確かに、よく噂になってた。誰もが二人はお似合いのカップルだって。私だってそう思う。
けど―――。
ゼノ様は、今まで舞踏会で何度も踊ってきたはず。ミシェルとだって。
それなのに、ダンスが楽しいと思ったのは、初めてだって………。
そうか、あれは、私を励まそうとして言ってくれただけ。
それ以外の深い意味なんてない。
わかりきったことなのに。煮え切らない思いがこみ上げてきて、どうしようもない。
なんで、こんな嫌な気持ちになるんだろう。