第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「それは、あくまで噂だろう」
「噂なんかじゃないです。私は、この目で見ましたから」
「………そんなことをふれ回っては、いけないよ」
「事実を言ったまでです。あんな女、汚らわしい」
「先生のことを悪く言うべきじゃない」
ロベール先生が、強い口調で咎める。
「私は、あんな人を先生だなんて思っていませんから」
「ミシェル、やめないか」
「どうして、あの女の味方をするんですか?ロベールさんも関係を持っていたんじゃないですか」
できるだけ冷静さを保とうとしている二人のピリッピリの空気感が、痛く突き刺さってくる。
この言い合いに口を挟む余地などなく、ただオロオロと眺めているしかない。
「戻ります」
突然、スックとミシェルは立ち上がり、緊迫が解かれた。
それ以上何も言いもせず、左足をかばうように歩き出し、静かに保健室を出て行った。
えっと………追いかける必要は、ないよね?
治療は終えたし、何か言ってあげられるべき言葉もないし。
片付けを終えて戻ってきたロベール先生が、正面のソファに腰掛け、困ったように苦笑してみせた。
「年頃の女の子は、難しいね」
促されて、私も向かい合って座る。