第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「一番右の棚しか開きませんよ」
ミシェルは、ソファに背を預けていた身体を起こして指を差し、そう教えてくれた。小さな声だったけれど、静かなのでよくとおる。
よく見ると、棚の前にはIDカードをかざす所がある。リアリンマートのお酒売り場と一緒だ。
保健医でないと開けられない仕組みになってるんだろうな。
言われたとおり、右端の棚へと移動する。扉はすぐに開いた。
その棚の中は、絆創膏や消毒薬、目薬などが入っている。つまり、ここは、誰でも自由に使って差し障りなく、応急処置のできる物を置いてあるのだ。
湿布と包帯、傷につける軟膏を取り出し、ミシェルの元へと戻る。
「お待たせ」
「まさか、マイン先生が治療するんですか?」
「保健の先生いないし。応急処置の講習も受けてるから安心して任せてよ!」
怪訝そうな顔つきをしているミシェルに、満面の笑顔を向ける。
「じゃ、足、見せてくれるかな」
渋々ながらも、靴下を脱ぎ、左足を差し出してくれた。
かなり赤く腫れている。くじいてるんだろうな。
湿布をはがし、静かに足首に貼ると、包帯を巻きつけていく。
「はい、これで足は終わり。次はっと………肩とか背中、アザになってるんじゃない?」
壁に、おもいきりぶつけてたからね。
軟膏の蓋を開ける。
「それは、大丈夫です」
「せっかく薬あるし。あ、服脱ぐの気になるなら、向こうのカーテン閉まる方に行こうか?女同士だから恥かしがる事ないよ?」
「本当に、たいしたことないので」
「でも………」