第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「あの、私が」
恐る恐る手を上げて、歩み寄る。
「私なら大丈夫かな?女だし。肩に手を掛けてくれる?保健室行こうか」
ミシェルは、大きな目を更に大きく見開き、じっと見ている。
しばらくして、コクンと小さく頷くと、私の首に腕を回して、起き上がろうとした。
身体を支えるように、肩を組み、よいしょ、と上体を起こす。
「大丈夫?歩ける?」
「はい」
左足を引きずるような形だけど、どうにか歩き出せそうだ。
「では、マイン先生、お願いしますね」
そう言うジル教頭に頷いてみせて、ゆっくりと保健室へと歩き出した。
歩き出して、しばらくすると、ハタと思いつく。
「えっと、保健室ってどこかな」
「この先、左です」
「そっか、ありがと。私、まだ保健室に行ったことないんだよね」
「健康優良という感じですもんね」
淡々と、そう言い放つミシェル。
………これって、褒めてるのかなあ。
チラリとミシェルに視線を向ける。
かなりなくらい体重を預けられてると思うけど、そんなに重さを感じない。
華奢だもんね。
肩に掛けられた細くて白い腕。時折、顔に触れる長いフワフワの金髪。サイドの髪を後ろでゆったりと小さなバレッタで留めている。そのバレッタについている宝石が、虹色にキラキラと光っている。吸い込まれそうなほどの輝きだ。
パッと見ただけでもわかる、高そうな代物。上品で控えめな彼女の美しさを、更に際立たせている。
あ、ふんわりいい香りがする。
いかにも、『女の子』的な容姿に、ちょっぴり羨ましくもあり、なぜだかドキドキしてしまって―――。