第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
ガタンッ!!!
唐突に、大きな音が響き渡ったので、びっくりしてそちらを見やる。
少し離れたところで、ミシェルが床に突っ伏していた。
ステップを踏み間違えて転んでしまったようだ。
「大丈夫ですか、ミシェル様っ」
側にいた何人かの男子生徒が、駆け寄る。
「来ないで!!」
驚くほどの大声でそう叫ぶと、身体を起こし、両手を振り回して抵抗している。
「でも、ミシェル様………」
一人の男子生徒が、そんなミシェルに怯むことなく、近づいて手を差し伸べた。
途端に。
ズザザザ―――ッ!
ドンッッ!!!
ミシェルは、必死の形相で座ったまま後退り、勢いよく壁へとぶつかった。
「い、嫌………、お、男の人に触れられるのは、嫌―――っ!!」
ガクガクと全身を震わせながら、悲痛な叫びを上げるミシェルに、周りの生徒達は、すっかり気後れしてしまっていた。
それ以上近づけず、誰もが遠巻きに彼女を見ている。
そんな中、ゼノ様が彼らをかき分けるように歩き出す。
私も、その後を遅れてついていく。
「立てるか。保健室に行こう」
ゆっくりとミシェルの前にしゃがむと、背中と膝裏に手を差し入れて抱えようとするゼノ様。
それに対し、震えながら精一杯身体を縮こませ、もうすでに進めない壁へと後退している。
「た、たとえ、ゼノ様にでも………わ、私………」
完全に目の焦点が合っていない。苦しげに声を振り絞り、小さな声で呟き続けているミシェル。
こんなに取り乱したミシェルを見るのは、初めてだ。