第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「そうですよね。何事も経験と言いますし。せっかくですから挑戦してみます」
心なしか、ひきつり気味な笑顔で、そう言って。
ダンスレッスンの輪の中に入ったのだった―――。
「習うより慣れろですよ。他にマイン先生のパートナーを引き受けてくださる方は………いらっしゃらなければ、私がお相手を務めさせていただきますが」
「ジル教頭が!?」
思わず驚きの声を上げてしまう。それは、勘弁してほしい~~~。
きっと、めちゃくちゃスパルタだよね?
「私では、ご不満ですか」
「いえ、そういうわけでは………ないのですが」
鋭く細められた目で見つめられ、これ以上何も言えなくなってしまう。
「俺が、マイン先生と踊ろう」
生徒の中から声が上がった。
ホッとして、そちらを見やる。
が、その凛とした声の持ち主がゼノ様と知って、再び慌ててしまう。
ゼノ様が、私のパートナーって!
それはそれで、緊張して踊れそうにないんだけど!!
さっきまでゼノ様と踊っていたミシェルは、隅の方に行き、ひっそりとステップを踏んでいる。
どうしよ、一人にしちゃったけど。他に誰かと踊るかな。
まごまごしていると、すっと目の前に現れ、恭しく頭を下げられた。
右手を取られ、腰を抱き寄せられる。
ち、近いっ、というか、抱きしめられてるっていう表現が合ってるっていうか………。
前髪にゼノ様の吐息が触れる。