第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
~三年一組 副会長 ミシェル=アードラー~
「ワン、トゥ、スリー、はい、次はターン………マイン先生、また半テンポ遅いですよ!」
パンパンとリズミカルな手拍子とともに、ジル教頭の鋭い声が、ホールに響き渡る。
「あ、すみませんっ、と………うわっ、たたたっ」
慌ててターンしようとして、自分で自分の足につまずき、よろけてしまう。
そのまま倒れこみそうになって踏ん張ったところに、パートナーの男子生徒の足があって………。
「いってえっ!!」
「うわ、ごめん、ごめんねっ」
この平謝り、もう何度目だろう。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「マイン先生、俺、もうギブアップっす。誰か替わって!」
悲痛な叫びを漏らす私のパートナー。いや、もう元パートナー、と言うべきか。
逃げるようにホールの隅に座り込み、踏まれた足をさすっている。
「ほんっと、ごめんなさい!次は失敗しないんで。頑張るんで。だから、あのぉ、誰か私と踊ってくれないかなあ」
ホール中を見渡しながら声を張り上げるけれど、誰も目を合わそうとしない。
………そりゃ、そうだ。私のパートナーが入れ替わったのは、もう何人目だろう?
だってね、そもそも決まったステップのあるダンスなんて踊ったことないんだもん!
そこそこ運動神経ある方だとは思うけど、まるきりの初心者。あまりにも高度なステップにミスの連続でも仕方ないよね?
その度に犠牲になるパートナーには、悪いと思うけど………。