第37章 私立リアリン学園!~ロベール~ 情熱編
ロベール 情熱編<R18>
~キャンバス~
イーゼルを端に立て掛け直し、散らばった絵の具を缶に戻していくロベール先生をぼんやりと見つめる。
教科書やノートを片付けなければと思ってはいるのに、手がまったく動かない。
なんでだろう、何か違うという違和感、フツフツと湧いてくる否定的な感情。
優しくて、なんでも相談にのってくれるロベール先生。でも、時々、見せる暗い表情。
そんな影を見る度、たまらない思いに駆られる。寄り添ってあげたい、信頼されたい、そう思うのに。
レイヴィスの忠告が、頭をよぎる―――。
『ロベールを、あまり信用しない方がいい』
レイヴィスにとって、ロベール先生は信用できない相手なのかもしれないけれど、私は違う。
そう、胸を張って言いたいけれど、どこかで躊躇している自分がいるのは否めない。
心の内に、こんなドロドロした感情が渦巻いている。
それなのに、絵の中の私は、この上ないくらい素敵な微笑みを浮かべている。
あれは、私なんかじゃない。
傍らに置かれたパレットナイフを手に持ち、あの絵にザクリと切りかかりたい衝動に駆られる。
ああ、そうか―――。
私は、本当の『私』を描いてほしいんだ。