第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
「見てもいいですか」
「え………ああ、そうだよね、見てみたいよね。でも、驚かないでほしいんだ。これは、俺の心の眼で見て描いた絵だから。変な感情はなくて。あくまで芸術的要素としてと思ってほしい」
「………?」
すいぶん、前置きが長いな。
絵が描きあがったら見たいと思うのは自然なことだよね?ましてや、自分がモデルなのだから。
それなのに、見られることを前提に描いてなかったのかな?そんなことまで気を回してなかったとか?
おずおずと立ち上がると、ロベール先生は、ゆっくりとイーゼルごとキャンバスをこちらに向けていった。
その絵を見て、一瞬、言葉を失った―――。
だって。
キャンバスに描かれていたのは、まばゆいばかりの美しさの、さながら天使のような微笑みを浮かべた裸体の女性だったのだ。
一切のけがれのない、無垢で、清楚で、この世のものとは思えないほど現実離れした完璧な肉体美。
「これ、私………?いやいや、私、こんなに美人じゃないし!」
想像で描かれたとしても、目の前にある自身の裸体に恥ずかしさが募っていき、ついつい大声になってしまう。
「俺には、現実の君が、この絵以上に美しく見えるよ」
ハッとして、ロベール先生の方に向き直ると、照れているのか、顔を背けられる。
「乾いたら額縁をつけて、マイン先生にプレゼントするよ」
「もらっていいんですか?」
「うん、受け取ってくれたら嬉しいよ」
「もちろんです!こんな素敵な絵、描いてもらえただけでも光栄なのに。ありがとうございます」
ロベール先生の絵って、すごく高価なんだよね。この絵は、一生の宝物となり得るだろう。
大事にしよう。
※次ページより、情熱編<R18>となります