第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
美術室の前に立つと、左手に持った答案用紙をギュッと握りしめ、スウッと息を大きく吸う。
「ロベ………」
「まだ何か用かい?」
明るく声を掛けた私と、ロベール先生の鋭い口調が重なった。
「あ、あの」
「ああ、ごめん、マイン先生か」
ロベール先生は、ハッとした顔つきをして、ぎこちない笑顔になった。
さっきの………『まだ何か用かい?』は、私に向けられた言葉ではないよね?
私の前に誰かと話してたってことだ。そして、それは、間違いなくレイヴィスであろう。
レイヴィスに対して、あんなにきつい態度を取るなんて。
何があったんだろう。言い合いにでもなったのだろうか。だから、ロベール先生を信用するなって言ったのかな。
二人の間に何があったかはわからない。けれど、私が首を突っ込むべき事ではないよね。
「それは?テスト用紙?」
振り上げた私の左手は、固まったままだった。
さっきよりも自然な微笑みを浮かべて近づいてくるロベール先生の目の前にズイっと用紙を突き出す。
「そうなんです!1年生の世界史のテストを解いてみました。見てください、ほとんどが正解なんです」
「どれどれ………ああ、本当だ。すごいね」
並んでテスト用紙を覗き込む。