第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
「学生ごっこか?」
不意に声をかけられ、慌てて顔を上げる。
そこに立っていたのは、クロードだった。おかしそうに笑いを堪えながら私を見下ろしている。
「それとも、お前、本当に学生だった、とか?」
「そんなわけないでしょ!」
クックッと笑みを漏らし、答案をするりと奪っていく。
「ちょっと!」
「おい、マイン。これ、ほぼ満点じゃないか」
「優秀ですから」
誇らしげに言いながら、すかさず立ち上がって、答案を取り返す。
「生徒と一緒にテストを受けてたのか?そんな教師初めて見たな」
「受けてません。テスト監督中に解いてみただけ」
「なるほどね、職務怠慢ってヤツだ。ジル教頭に知れたら説教ものだ」
「え、嘘っ!?」
「冗談だ」
一瞬、慌てた私に、軽くウィンクをしてみせる。
う~、またからかわれたぁ。
「確かに、テスト監督ってのは、退屈だからな。気持ちがわからないでもない」
「暇つぶしで解いてたわけじゃないんだ。テスト明けから世界史の授業も任されるから勉強中なの。だから、どこまで理解できてるか確認するのにちょうどいいかなって思って」
「お前は、本当に勉強熱心だな。教師なんて力抜けるトコ抜いて、気楽にやらないと身が持たない職業だが?」
「クロードと一緒にしないでよ」
笑いながら答える。
「この後は、暇だろ?昼メシ食いに行かないか」
………この後は、美術室に行く予定がある。