第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
キンコンカンコン~ ♪
何度目かのチャイムの音。
ふうっと息をつきながら、壁にかかった時計へと目を向けたロベール先生につられて、顔を上げる。
「もうすぐ下校時間だね。今日は、これくらいにしておこうか。疲れたよね。長い時間お疲れ様」
「いえ、こちらこそ。いろいろ教えてもらえて助かりました」
ソファに座り直し、軽く頭を下げる。と、その拍子に、ノートと資料集が床に落ちてバサリと音を立てた。
屈んで拾い上げようとするより先に、ロベール先生が二冊を束ねて手渡してくれた。
「この資料集は、要点がまとまっていて使いやすいよね」
「そうですね」
受け取りながら、質問しようと思っていた事を思い出した。
資料集に書かれていた一文―――。
『小国同士の争いが激化していく中で、ブランデン王国は、諸外国の侵略によって国家としての地位を失い、その後、アルデリア王国に吸収されることとなった』
「ロベール先生は、ブランデン王国をご存知ですか?」
その一言に、ロベール先生は、ビクリと肩を揺らし、顔をこわばらせた。
「………どうして、そんなことを聞くんだい?」
「資料集に少しだけ記述があって。それが、この間話していた国のことかなって、思ったので」