第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
「おはようございます。今日はよろしくお願いします!」
トラックの運転席のドアが勢いよく開き、運送業者のお兄さんが降りてきて、帽子を取り、笑顔で元気な挨拶をする。
口の中でモゴモゴと挨拶を返し、ロベール先生とともに頭を下げる。
「荷物は、こちらでよろしいですか?」
絵を確認すると、トラックへ戻り、バタンバタンと大きな音を立てて荷台を開ける。
梱包材を持って戻ってくると、慣れた手つきで絵を包んでいく。
「これから会場に行くんだ。マイン先生は、一時間目から試験監督だよね。ソレ、預かるよ」
あ、そうか、コレ………。
行き場を失って突き出したままの拳を、差し出された手の上に重ねようとして―――。
思い直して、グッと握り締める。
「あの、これ、私からミシェルに返します」
「いや、でも」
「こういうのは、同性の方がいいと思います。まかせてください」
ロベール先生が困っているなら、力になりたい―――そう思ったのは、確かだ。
けど、それ以上に、この、何か引っかかりを感じるモヤモヤの塊をどうにかしたかった。
キンコンカンコン~ ♪
チャイムが鳴りだした。
「確認お願いします」
梱包を終えた運送業者のお兄さんが声を掛けてきた。
ロベール先生は、一瞬、そちらに目を向けたけれど、何か言いたげな様子で、また私の方に向き直った。
けれど、もう時間がない。行かないと―――。
軽く頭を下げると、スカートのポケットにソレを押し込み、急いで職員室へと向かった。