第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
ほどなくして、ロベール先生は、湯気の立つ二つのカップをすぐ横にある木の椅子の上に並べて置いた。
「砂糖とミルクもいるよね?ちょっと待っててね。その辺りに適当に座ってくれるかな」
そう言われて、壁に立てかけてある絵が正面にくるように、カップの乗った椅子と二つの椅子を程よい距離感を作って並べて置く。
「絵の具の匂いが気になるかな。大丈夫?」
「平気です。美術室って、なんか雰囲気あって好きです」
持ってきてもらったミルクをカップに入れ、スプーンでかき混ぜる。
ふわりと紅茶のいい香りが漂う。
口に含むと、絵の具の匂いとイーゼルや椅子の木の匂いが混ざり合って、不思議な空間にいるような気分になる。
「お忙しいところ、お邪魔してすみません」
「いや、ちょうど一段落したから、片付けでもしようかと思いついただけだよ」
「一段落?もしかしてこの絵ですか?」
「うん。やっと完成してね」
二人で正面の絵に向き直る。