第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
―――っと!
何かにつまずき、身体がグラリと傾く。
慌てて両手を床に着き、なんとか転倒は免れた。
ほっとしたのも束の間、バタバタッと鈍い音を立ててそれらが倒れていくのがわかった。
うわっ!!
振り返ると、五、六枚の大小さまざまなキャンバスが、ドミノ倒しのように倒れている。
紐で括ってひとまとめにして立てかけてあったのだ。それに気づかず、紐に足を引っ掛けたようだ。
倒れた絵をよいしょ、とまとめて起こす。
と、その真ん中にある絵に描かれた人物の瞳と視線がぶつかった。
少しずらして見てみる。
この絵の人って………ゼノ様?
驚いて凝視してしまった。でも、すぐに思い直す。その威厳のある風格と顔立ちがゼノ様そっくりなのだけど、何かが違う気がする。
ゼノ様がもう少し年を取ったら、こんな感じかなあ―――って、これ、もしかしてゼノ様のお父さん!?
もう一度その絵を見る。真ん中辺りにピンクの色が見える。絵の人物の左手の下には、小さな細い指が見える。手と手が重なっているってこと?
ズルズルとキャンバスを引き出す。もう半分側に描かれた人物がゆっくりと晒される。