第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
世界でもっとも安全な国とされている日本に、王位継承者達が学ぶ国として設立されたリアリン市国。
この国に居住する者、出入りする者は、すべて何らかの形で学園に従事している。
ただの観光では、この国には入国できない。
そのような特殊な国事情ゆえ、日本とは唯一の地続きの隣国なのに、あまり関心がなかった。
もっとも近くて遠い国―――そんなイメージだった。
実際、入国には厳しい審査があり、必要書類を用意するだけでもう諦めたくなるくらいの労力だったことが思い出される。
出入国ゲートの強固な警備体制にも驚かされた。
学園での生活が、あまりにも穏やかだから忘れていたけれど、そうした厳重警戒の元でこの平和が成り立っているのだ。
ここに長く住むことになるかもしれない。だったら、この国のことを知っておく必要があるよね。
となると、最初にリアリン市国の歴史について勉強するのがいいだろう。
市国史の先生に相談しようかな。
………って、どの先生だっけ?
職員室中をぐるりと見回す。
ここには、いないようだ。いや、もしいたとしても、採点に忙しくて声をかけづらいに決まってる。
困ったな。