第35章 私立リアリン学園!~レイヴィス~ 情熱編
「そうだ、これ」
思いついたように鞄の中から一冊の本を取り出す………と、なぜかその本を一旦、鞄に戻した。
思案しているのか、ためらっているのか、不自然に一瞬、間があいた。
それから、再びさっきの本を取り出して、私の前にかざす。
黒革のカバー表紙に、金色の文字で『リアリン学園音楽科 四季報』と書かれてある。
「しっかり勉強してきて。明日、成果見せてもらうから」
「成果?」
ポンと頭に手を置かれ、髪をクシャリとされる。
「また明日」
レイヴィスは、それだけ言うと、静かに進路指導室を出ていった。
ズル………ズルズル。
全身の力が抜けていき、その場にへたり込む。
し、心臓に悪いよぉ。
こんな刺激的な補習のせいで、しばらくその場から動けなくなってしまった。