第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
と、その時―――。
カシャンッ。
胸ポケットからUSBメモリが落ちていった。
慌てて拾いあげる。
これには、建国記念式典の来賓リストが入っている。
『それ、個人情報だから機密事項ってことで、取り扱い注意でね』
いつだってなんだってどこか面白がっているといった口調のアーサー。普段、飄々としているように見えているが、実は一番油断のならない相手だ。
失くしたり盗まれたりしたら、アーサーに大目玉くらう羽目になるだろう。こんなデータ、悪用しようにも使い道ないと思うけど。
キュッ。
手の中のUSBメモリを握り締める。
ふと、アルバートがテスト問題を盗んだという噂が思い出された。職員室に盗みに入ったのだろうか。おそらく、USBメモリにデータをコピーして持ち出したのだろう。
ノア=レオンハートが毎回首位独走で、アルバートは常に二番。ノアを妬み、首位獲得のために、今回の不正を行ったと言われている。
あの時は、気にもとめていなかったけど、そもそも、あの真面目なアルバートがそんなことをするだろうか?
アルバート=ブルクハルト。ゼノ様の側近だから、それなりに知り合いだ。
忠誠心に厚く、正義感の塊のような彼が、悪事に手を染めるとは、到底考えられない。