第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
「………」
「本を買ったんだ」
「本?」
やっと話し始めたかと思ったら、これだ。あまりにも唐突過ぎる出だしだ。
四つん這いになり、辺りに散乱している教科書類を雑にかき分けている。その中の一冊、見覚えのある黒革のブックカバーを手にして、また元の位置に座り直した。
「意中の相手を射止める秘策」
………は?どこが?
「それ、音楽科の四季報ですよね?」
ズイッと目の前に本を差し出され、戸惑いながらも受け取る。
黒革に『リアリン学園音楽科 四季報』と金で箔押しされている表紙を眺めてから、パラパラとページを捲る。
そして、ようやく納得した。
中身は、恋愛攻略本。四季報につけられたブックカバーが、この本と大きさも厚みもちょうど合っていたのだろう。確かに、大っぴらに持ってられるような本じゃないからな。
「その本の通りにしてみたんだ」
「ふーん」
はっきり言って気乗りしない。聞きたくない。けど、聞かされるんだろうな。
「第一段階はこうだ、『挨拶し合う仲になる』だ。これは、クリア」
「それは、もちろん、そうでしょ」
「第二段階もクリアしたんだよ………あの天使のような笑顔、かっわいかったなあ」