第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
「小学生みたいな言い掛かりにつきあうつもりはない。これ以上は、時間の無駄だ。オザワセー部長、始めて」
「し、小学生みたいって………時間の無駄だと!?」
尚も噛みついてきそうな勢いの彼に構うことなく、オザワセー部長は指揮棒を振り上げる。
と、もう一度口を開きかけた彼は、オザワセー部長を仰ぎ見た途端、サッと顔色を変えて慌てて席に座り、フルートを構えた。
………え、あの人、一瞬でおとなしくなっちゃったよ?よっぽどあのオザワセー部長が怖いんだろうね。
身を乗り出してみるけれど、オザワセー部長の表情は伺えない。
空中で静止している指揮棒が、大きく振り抜かれると――――――。
ジャーーーーーーッン!!!!!
張り詰めた空気感の中、音が響いた。
そうして、再び、演奏が始まった。
ほっとして、深く座席に腰掛ける。
さっきと変わらず、やっぱり、ものすごく上手な演奏だ。
あ、けど。
オーケストラに詳しいわけじゃないから、うまく言えないけど………なんだろう?よく注意して聴いていると、荒削り感が確かにある。パートごとの演奏の微妙なズレ、間合いの取り方が多少だけど、気に掛かる。
今は、まだ練習段階だから、あたりまえか。
でも………確かに、レイヴィスの言うとおり、もう少しパート練習してから合奏にした方がよかったのかも。
第二楽章を何度も繰り返して演奏している。
回を追うごとに厚みを増していく音色。小さなミスも、どんどんなくなっていく。
それでも、なんとなくギスギスした感じは拭えない。不協和音が生じているのが垣間見えるようだ。