第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
「オザワセー部長が言わないから代わりに言ってる。指揮棒振り回すだけじゃなく、ちゃんと言葉で指摘してくださいよ」
レイヴィスは、表情一つ変えずに、冷静な口調。
………あの指揮者にまで意見言ってるんだよね?あの人、怒らせたらマズそうなんだけど!
オザワセー部長と呼ばれた指揮者は、こちらに背を向けたまま、じっとしている。ただ、手に持っている指揮棒がフルフルと揺れているだけだ。
何か言うだろうと、皆一様に固唾を飲んで見守っていたけれど、一向に話し出す気配がない。
………怒りに震えてるとか?
「レイヴィス、お前が入って来るまでは、うまくやっていたんだ。それなのにこんなに雰囲気悪くなって。これじゃ演奏どころじゃない」
しびれを切らしたフルート奏者の彼は、立ち上がって負けじとレイヴィスを睨む。
「やめてください。私が出遅れたから悪いんです」
あ、さっきのチェロのコ。おずおずと口を挟む。
「出たよ。女子は皆レイヴィス様の味方だからな。これだからイケメンは得だよな。普通科のヤツが、どうせお遊びで弾いてるだけなんだろ?それなのに、極め過ぎなんだよ」
「プロ目指してるくせに、お遊びで弾いてるヤツに負けてるっておかしくないか?」
「………っ」
レイヴィスの反論に、グッと言葉を詰まらせるフルートの彼。