第1章 皆でお祝い♪ ゼノ様バースデー!
「………お前は、何をしているのだ?」
「あ………ゼノ様………」
私は、床に転がったまま、ゼノ様を見上げる。
驚きと呆れの混じったような表情を浮かべているのを感じ取り、私は恥ずかしくて俯く。
「立てるか?」
私に手を差し伸べるゼノ様。
「ええと………はい………」
ゼノ様に応えなきゃと思いながらも、羞恥で顔を上げられず………。
「………あ、いえ………ちょっと無理、かも………」
自分1人で体勢を整えようとするも、うまくいかない。
「その格好は、どうした」
ゼノ様が、私のすぐ横にしゃがみ、顔を覗いている。
「あ、ええと………リボンが………」
ドキドキと鼓動が高まって、言葉がうまく紡げない。
「リボンが絡まって動けない?………じっとしていろ、ほどいてやる」
ゼノ様は、ふっと笑みを浮かべながら、リボンに手をかける。
「す、すみません………」
リボンをほどいていく指先が、時折優しく肌を滑っていくのを感じながら、私は俯いたまま、じっとしていた。
リボンがほどけると、ほっとすると同時に、残念な思いが湧いてきて、小さくため息をつく。
「これは?」
ゼノ様は、落ちているカードに気づき、拾い上げる。
「………『私を、召しあがれ』?」
ゼノ様は、カードに書かれているメッセージを読み上げると、驚いた表情で私を見つめ、カードを手渡す。
―――私を、召しあがれ。
カードの文字を、頭で繰り返す。
えっ………召しあがれって………。
ギュッとカードを握り締めて、ユーリの言葉を、再び思い出す。
『ゼノ様と2人っきりになる、ちょっと前に開けてね♪』
ユーリのイタズラめいた笑顔が浮かぶ―――。
………もう、ユーリったら!
「………あ、あの、それは、ユーリが………」
「そういう事か。では………中身は俺の好きにするが、かまわないな?」
「………っ!」