第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
―――オーケストラ?
正面に見えるステージ上で練習しているようだ。
私の立っている所は百人ほどが座れる観客席になっている。もちろん、座っている人は誰もいない。
けれど、まるでコンサートさながらの厳かな雰囲気と緊張感がみなぎっている。
―――え、ちょっと待って。何、この演奏。
上手すぎる!
ブラームスの交響曲第一番。ヴァイオリンがよく響く力強い曲。
プロかと思うほどのその力量に圧倒されてしまう。
えっと………あそこにいるのって、生徒達だよね?皆、制服着てるもんね。
学生の部活動的演奏って域じゃない。プロ並みなんだけど!
ざっと見て五、六十人くらい、かな。
ヴァイオリンにヴィオラ………あ、さっきのチェロの女のコが端の階段からステージに上がっていくのが見える。
その間も演奏が止む気配はない。女のコは楽器を構えると、すぐにその演奏の中に溶け込んでいった。
それはそうと………さっきから指揮者の男子生徒から目が離せない。髪を振り乱し、額に汗し、全身を使って情熱的に指揮棒を振っている。
チラリと横顔が見えるのだけど、ものすごい形相。ギラギラと燃えるような熱く鋭い目つきで、奏者を睨みつけるように見渡しながら指揮しているのだ。これは、かなり怖い。