第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
「本当にごめんなさい」
深々と頭を下げられて、恐縮してしまう。
「急に飛び出した私が悪いんだ。だから、気にしないで」
「すみませんでした」
彼女は、もう一度頭を下げると、クルリと私に背を向けて歩き出した。大きな、つるりとした茶色い物を抱えて―――ん?楽器?
………あれって、チェロだよね?
もしかして、ぶつかったのってチェロ?
あの高価な楽器に突進しちゃったって訳か!?
うっわ、私のおでこより、あっちの方が心配なんだけど!
「待って、ちょっと待って―――っ!!」
慌てて大声を上げる。
「ねえっ、楽器は、楽器は、大丈夫なの!?」
「え?」
呼び止められた彼女は、少し驚いた表情で私が追いつくのを待っていてくれている。
「や、大丈夫、とか聞いておいてアレだけど、もし何かやらかしちゃってたとしても、私、弁償とかできる財力ないんだよね」
ハー、ハーッと息を切らして、そう告げる。
「楽器は心配ないです。大丈夫ですから」
「よかったあ」
その言葉を聞いて、心から安堵する。
この学園の規模、身分の高い生徒達とくれば、その生徒が持っている楽器って、絶対、私の常識範囲外の桁外れな額に決まってるのだ。
ジロジロとチェロを眺める。
どこにぶつかったのかはわからないけど、へこんでる箇所はなさそうだ。