第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
「忠告はした。それじゃ、もう時間だから」
教科書を閉じるとすぐに立ち上がり、鞄を小脇に抱え、傍らのノートやファイルを束ねて両手ですくうように持ち上げた。それらを鞄にしまう時間さえ惜しんでいるかのように。
塞がった両手のまま、器用にドアを開け、進路指導室から出ていこうとした。
その時―――。
ヒラリ。
一枚の紙が、ファイルの隙間から宙を舞って、やがて床へと落ちていった。
足元のその紙を拾い上げる。
………楽譜?
「レイヴィス、落としたよ………って、もういないし」
きっちりと閉じられたドア。急いで開けて、廊下を見やる。
ずいぶん先の角を曲がっていくレイヴィスの後ろ姿がチラリと見えた。
早っ。
「レイヴィス!」
声を張り上げてみるけれど、無駄だろう。多分、聞こえてない。
楽譜を片手に、その後ろ姿を小走りで追いかけ始める。