第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
しばらくするとペンを置き、二枚のテストを差し出してきた。
ザッと見ただけで、すぐに出来の良さを感じた。答えは全部埋めてある。基礎的な日本語力はもちろん、読解力も漢字の知識もしっかりしている。
「すごくよく出来てるね。この分だと補習の必要ないくらいだけど………」
その後の言葉を濁す。ジル教頭に提案したところで、『では、補習はなしにしましょう』とはならないと思う。方針を変えることはないだろうから。
「ジルに言うだけ無駄。だから、補習は続けて。その代わり、時間を三十分にしてほしい」
………レイヴィスも私の考えと同じようだ。補習の取りやめは難しい。けれど、時間短縮なら私が判断してもいい許容範囲だろう。
「了解。毎日三十分ね。古典から始めるよ。テスト範囲は源氏物語のここから………源氏物語読んだことある?」
「いや、授業でしかない」
「そっか、それなら、簡単に概要説明するね。時代背景も知っておくと掴みやすくなるから」
レイヴィスは、きちんと話を聞き、理解力のある生徒だった。
分かることと分からないことが明確で、適切な質問をしてくる。そして、教えた分以上のことを吸収し、発展させる力を持っていると確信した。
教えがいのある生徒だ。