第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
~補習~
購買から買ってきたパンを頬張りながら、ペットボトルのお茶をゴクゴクと飲んでいると、職員室に入ってきたジル教頭と目が合う。
「マイン先生、お食事中のところ申し訳ありませんが、少しよろしいですか」
「あ、はい」
最後のパンのひとかけらを口に放り込み、モグモグ、ゴクンとしながら、ジル教頭の席へと歩み寄る。
「何でしょう?」
「マイン先生に補習をお願いしたい生徒がいます。転入生の一人、二年二組のレイヴィス=ハルナイト」
「補習、ですか」
「ええ、彼の国、シュタインでは日本語は選択科目として扱われている程度でしたので、来週行われるテストに向けて、日本史と古典の補習が必要と判断いたしました」
「日本史と古典ですか。国語は必要ないってことは、日常会話には、支障ないんですね?」
「ええ、日本語の知識は十分なようです。ですが、日本史と古典のように専門となると厳しいと思います。ここ、リアリン学園は、都市国家として独立した国の中に存在していますが、地形的には日本の国土上にあるため、基本言語は日本語、一般科目の国語は日本語とし、日本史と古典は必修科目となっております。そのような特殊な事情ゆえ、他国からの編入を受け入れ難いというのが実情です。通例でしたら、受諾しておりませんでしたが」