第33章 私立リアリン学園!~アルバート~ 情熱編
吸い寄せられるかのように耳のふちに唇をあて、ゆっくりとそのラインを辿り、フッと耳の奥に息を吹きかける。
すると―――。
「ひゃ、ぁあんっっ」
今度は、ビクンッと大きく身体を跳ねあがらせ、頭のてっぺんから出ているのではないかと思うほどの甲高い声を発し、目をパチパチとさせている。
「や、やだぁ、も、やめて………」
困ったように眉をさげ、どこか虚ろなトロンとした瞳を向けて、呟いた。
―――そこで、ようやく我に返る。
『やめて』
確かに、そう言われた。
嫌がる女性を無理やり押し倒してキスをした―――とんでもないことをしてしまったと気づく。
そもそも、俺達は恋人同士でも何でもない。
俺が勝手に好意を寄せていただけであって、彼女の気持ちなど考えてもいなかった。ただ成り行きで、雰囲気に流されてここまでの行為に至ったのだ。
かわいすぎる彼女のせいでもあるが。そうだとしても、やはり男の俺に非がある。
ひょっとして、俺は、犯罪者か?
「なんてお詫びしていいか………すみません、俺………」
慌てて上体を起こす。
どう謝っていいかもわからない。リリカを直視することができなくて、目を逸らす。
「アルバート?あの、急にどうしちゃったの?」
下から覗き込むように俺を見つめ、目を合わせようとする。
何故か、キョトンとした顔つきがそこにある。