第33章 私立リアリン学園!~アルバート~ 情熱編
「これ、本物。私の制服だ」
ほころびを指差して声をあげる。
「本人のあなたが言うのですから、間違いないですね」
「本物でよかった。そんなすごい金額払ったのに、偽物だったら許せないよね。というか、本物なら本物で、どうしてこれがネットオークションなんかに出回ってるわけ!?」
「出品者は、『関係者』とだけしか明かされてませんでした」
「店長は、そんなことする人じゃないんだ。とすると、バイト仲間の誰かがってことになるよね?考えたくないなあ。人の制服売って金儲けしてるなんて。嫌な世の中だね」
ため息つきつつ、世の中の非情さを嘆く。
「お返しします」
「何?」
「元々は、あなたのです。この制服をお返しします」
「いや、返されても。もう着ないし。それに、今はアルバートの物じゃん」
そういえば、これ買ってどうするつもりだったんだろう………聞くのが怖いんだけど!
「では、あの、一度でいいので、その………着て見せてもらえますか」
「は、え?い、今?」
「ええ、今です」
心なしか、メガネの奥の瞳が期待に満ちて輝いている………。
えっと、どうしよう。
アルバートの競り落とした金額が頭をよぎる。
ただのメイド服に、あんな大金注ぎ込むなんて。
―――どうかしてる。
そう思うけれど。同時に、そこまでして手に入れてくれたのかと感慨深いものがある。
それに、メイド服を着るのは、本当にこれが最後かも………。