第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
リリカは、一瞬ハッとした顔をして、また元の笑顔に戻った。
『………っ、あの、どうぞ、こちらへ!』
奥へと案内され、ピンクのソファのある席にユーリと向かい合って腰を下ろした。
『なんか………さっきから、すっごい視線、感じるけど。俺達、どっか変?』
周囲の尋常でない気配を察知して、周りを見渡しながら首を傾げているユーリ。
その途端、メイド達は、キャー、と歓声を上げる。
………俺は、振り向くのをやめておこう。背中越しに感じる、俺宛ではない視線が痛いくらいだ。
『あ、ご主人様がアイドルみたいだから、メイドの私達もドキドキしちゃってるんです!』
『え、俺が?………ふーん。そうなんだ。でも、リリカちゃんの方がもっと、ずっと、カワイイよ?』
………そんな二人の会話を聞いていたら、妙にむず痒くなってきた。
『貴様、よくも恥ずかしげもなく、そんなことが言えるな』
俺は、メガネのツルをクイッと持ち上げると、苦々しく呟いた。
『えー、だってほんとのことだもん、ね、リリカちゃん♪』
ユーリは意に介さずといった調子で更に畳み掛けている。
―――コイツは、こういうヤツだ。
その後、リリカは、俺とユーリ分け隔てなく優しくかわいく接してくれた。リリカがおいしくなあれのおまじないをかけてくれた、名前入りの萌え萌えリボンオムライチュとハッピーオレンジジューチュを堪能して、人生最高の時間を過ごしたのだった。