第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
メイドカフェ。
確かに興味はある………いや、俺は、メイドカフェに行ってみたいのではない。
リリカに逢いたいだけだ―――。
『あ、そういえば、カフェ☆モエ~ルがあるのって、このもうちょっと先だよね?』
ユーリが思い出したように言った。
な………っ!?
何故、カフェ☆モエ~ルなどと口に出したのだ?
『そこが何だと言うのだ?』
俺は、平常心を保ちながら聞き返す。
『ほら、メイドカフェ人気ナンバーワンのリリカちゃんのいるお店だよ』
『………誰だか知らん』
『どうせなら一番カワイイコがいるお店に行きたいじゃん。俺、実は、メイドカフェ初体験なんだよね。アルは?』
『………』
コイツ、とぼけてるのか?ヤツでさえ初メイドカフェだというのに、なんでこの俺が、経験ありだと思えるのだ?
それはさておき。この機会を逃したら、一生、リリカに逢う時は、ない。
ユーリに連れられて仕方なくといった体裁を装って、心の準備もそこそこにカフェ☆モエ~ルを目指して歩き出した。
店に入った途端、圧倒された。何にって………何もかもに、だ。
非現実的なこの空間に突然投げ出されて、ただ、立ちつくすのみだった。