第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
一、二年合同の校外学習のリサーチを終えた帰り道のことだった。
よりにもよって、ユーリとペアを組まさせるとは………。
ヤツとは子どもの頃から一緒だった。バカに明るく騒々しくて、人懐こい。誰からも好かれるから、ヤツの周りには自然に人が集まる。
静かに過ごしたい派の俺とは、まったくの正反対だ。
今日だって、途中であれだこれだと逸れていき、その度に、軌道修正を与儀なくされた。
明日から夏休みだというのに、今日までフィールドワークに時間を費やしているのは、おそらく俺達だけだろう。
賑やかな大通りを並んで歩いていた。
やたらとコスプレした人々が目につくこの街は、独特な雰囲気を持っている。
普通の学生もいればサラリーマン風の人もいる。外国人や若者やそうでない者も………とにかくなんというか、いろんな人種、様々な年代の人々がひしめき合っている奇妙な街だ。
そして、この街を形作っている主流が、『メイドカフェ』なのだ。
『この辺りは、メイドカフェばっかりだね。ねえ、アル、どっかに入ってみようよ』
『何を言っている。帰ったら、即レポート作りだ。シュタインに帰るのが遅くなるとゼノ様に迷惑がかかるだろうが』
『ゼノ様なら、こっちでの公務があるから、しばらくシュタインに帰らないじゃん。それに、レポートは夏休み明け提出だから、時間はたっぷりあるって。ねえ、行ってみようよ』