第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
弾かれたように本棚の前に立ちふさがり、バババッと凄い早さですべての雑誌を抜き取ると、背中の後ろに隠し、その場に座り込んだ。
そんなアルバートの意外な姿に目を丸くする。
「も、もう帰ってもらえますか」
「競技かるたの本、まだ借りてないよ?」
私は、ちょっと面白くなって、からかい口調でそう言う。
「明日、持って行きま………いや、俺は停学中だ。誰かに渡します。なので………」
「ねえ、聞いてもいい?」
「ダ、ダメです」
「それ、私の本だよね?」
正確に言うと、私が載ってる雑誌………メイドアイドル専門誌。
最初に見つけた雑誌は、私が初めてメイドアイドルとして誌面を飾った号だった。
アルバートが今、必死で隠してる何冊かの雑誌は、それ以降のものだろう。多分私が載っているすべての号。
私も同じ雑誌を同じだけ持っているから、分かる。
「私の事、ずいぶん前から知っててくれたんだ?」
ガクリと頭を垂れて、眉間にシワを寄せて目を閉じているアルバート。やがて、観念したのか顔をあげ、軽い咳払いをする。