第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
そう言って、壁の時計に目を向ける。
「もう4時間目が始まります。戻った方がいいのでは?」
「4時間目は空きだから大丈夫。あ、これカインから。昼食だって」
膝の上に置いていた紙袋を差し出す。
「昼飯の事など考えていませんでした」
紙袋を受け取るとすぐに、ガサガサと中身を取り出している。
「イチゴサンド?」
「今朝、アラン=クロフォードが皆の分を作ってました。彼にもお礼を言っておきます。いろいろとありがとうございました」
軽く頭を下げ、立ち上がるとドアの方へと向かう。よっぽど私を帰らせたいのだろうか。
「ねえ、もうハッキングなんてしないよね?」
「俺だって我が身が大事です。退学になるわけにはいきませんから、無茶はするつもりはありません」
「そっか、よかった」
ホッとして、私も立ち上がる。
椅子を持ち上げると、アルバートがすぐに気づいて代わりに机の下にもどしてくれた。
机のすぐ横の本棚に目を向けると、そこには難しそうな本がギッシリと並んでいる。
政治学、データ戦略、法律用語辞典………って、すごいのばっかり。
「そういえば、競技かるたの本を貸す約束でしたね」
私がじっと本棚を見ていることに気づいたのか、視界を遮るかのように私に背を向け、本棚の前に立ちはだかる。