第4章 ピアノレッスン~シド~
絡まる、旋律。
優しく、時に激しく。
想いが、交わり合う―――。
やがて、私は、一番低音の方の鍵盤を、奏で続ける。
そして、シドは、一番高音を力強く弾いている。
パート通りに座っていたのなら、お互いの手が交差しながら弾いているであろうところだ。
それが、今は、逆になっているから。
お互い、背を向けて弾いているみたいだ。
それでも、心は向き合っている。
―――はっきりと感じる。
今なら、わかる。
この曲が、シド自身だという意味が。
シドの人生で、シドの心だって―――。