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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第4章 ピアノレッスン~シド~




―――カチャリ。

部屋のドアが開く。

その人は、中に入って来ると、ドアのすぐそばの壁にもたれて、腕を組んでいる………。

私は、それを横目で確認しながらも、ピアノを弾く手を止めずに言う。



「遅い。レッスンは、もう始まってるよ」

「………その曲は、やめとけ」

シドが、ぶっきらぼうに言う。

「どうして?」

私は、更に先を弾く。



繰り返す、旋律。



愛してる。



―――愛してる。





「あ………っと!」



弾き間違えて、指を止める。

と。

シドが、ゆっくりと近づいてきて………私の右隣りに無理矢理座る。

「………」

少しでもシドとの距離を空けようと、私は端に座り直す。

それでも、僅かに腕が触れ合っていて………。



ポロン―――。



シドが、ピアノを弾き始める。

部屋に入って来た時に、私が弾いていた箇所だ。

ゆっくりと、滑らかに。



―――改めて、思う。



一度見て、聴いただけでこんなに上手に弾けるなんて………。

私が教える!なんて、息巻いてた自分が、恥ずかしくなる。

技術的には、もちろんだけど、こんなにも感情表現豊かな演奏ができるなんて………。





心のこもった優しい旋律―――。



想いが溢れてくる。

どうしようもないほどに。

止められない。



―――もう、止まらない。



愛してる。



―――愛してる。



「あ………っと!」



シドは、甲高い声を上げて、さっき私が間違えた箇所を、同じように弾き間違える。

「先生と同じように弾いてみた。忠実な生徒だろ?」

シドがニヤリと笑って、私の顔を覗き込む。

「………わざと間違えたって、わけ?」

私は、シドを横目で睨む。

「そう、怒んなって」



シドは、続けてまた、弾き始める。

セコンドのパートを、高音で弾き続ける。

私は、少し遅れて低音でプリモのパートを弾く。

本来なら、私が右側に座って高音を弾き、シドが左で低音を弾く曲なのだけど………。

成り行きまかせのまま、弾き続ける。







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